- 広報のブログ
- 2026.9.11
庭に、食べられる森を。「食べることは生きること ~アリス・ウォータースのおいしい革命~」上映会レポート
8月29日(土)、豊川グランドホテルにて、上映会&お話会を開催しました。
夏の終わりの土曜日の午前、会場には約100名の方にお集まりいただきました。

映画『食べることは生きること』——アリス・ウォータースのおいしい革命
上映したのは、ドキュメンタリー映画『食べることは生きること 〜アリス・ウォータースのおいしい革命〜』。
アリス・ウォータースさんは、アメリカ・カリフォルニアのレストラン「シェ・パニース」のオーナーであり、学校の校庭を菜園に変える「食育菜園」の創始者でもあります。
地元で採れたものを、その季節に、おいしく食べる。
ただそれだけのことが、人の暮らしと地域をどう変えていくのか。
世界中の料理人と教育者に影響を与えてきた彼女の言葉が、静かに続きます。

上映のあいだ、会場は静かでした。皆さん、真剣にスクリーンを見つめていらっしゃいます。
終了後のアンケートには、こんな言葉が並びました。
「アリスさんにいやされました」
「力が湧きました」
「素晴らしい内容で、気づきの多い上映会でした。これからの日本に必要な視点だと思います」
今回、はじめてイトコーを知ってくださった方も多くいらっしゃいました。
なぜ、イトコーが食の映画を上映するのか
この会の主催は「穂の国の森からつながる地域づくりの会」。
イトコーが事務局を務める団体です。

はじまりは1999年の「山の見学会」。
地元の木の良さを知っていただきたいという願いから生まれ、植林、下草刈り、枝打ち、そして小中学校の教室を地元材で整える「教室の空気はビタミン材運動」と、25年以上にわたって活動を続けてきました。
そして2025年、活動の輪をさらに広げようと、会は一歩あゆみを進めます。
掲げたのは「山づくりから街づくりも」「家づくりから地域づくりも」という言葉。
名前も「穂の国の森から始まる家づくりの会」から、いまの「穂の国の森からつながる地域づくりの会」へと改めました。
この会が大切にしてきた考えに、身土不二という言葉があります。
住まいは、その土地に根付くもの。
土地の恵みを受けて建て、暮らす。
食べることも、暮らすことの一部です。
その土地で採れたものを食べる。
育つところを知っている。——アリスさんが世界に伝えてきたことと、わたしたちが東三河の山で続けてきたこと。
かたちは違っても、根のところはつながっているように思います。
食を入り口に、暮らしと地域のことを考えてみたい
今年の上映会は、そんな思いから生まれました。
上映会は昨年に続いて2回目です。
昨年もたくさんの方にご参加いただき、うれしい感想をいただきました。
お話会「暮らしの中に、食べられる森を育てる」
家づくり、暮らしづくりのご相談のなかで、よくお話に出るのが庭のことです。
自然を身近に感じる暮らしがしたいけど、庭は手入れが大変そう——そんなイメージから、なかなか一歩を踏み出せずにいる、というお声もよくうかがいます。
そこで、上映のあとは、静岡県浜松市で「フォレストガーデン」を実践されている川村若菜さん(合同会社Permaculture Design Lab. 共同代表)をお迎えして、お話会を開きました。

「観察のメガネ」をかけるところから
お話は、庭のつくり方ではなく、観察から始まりました。
太陽はいま、どれくらいの高さにいるのか
風はどの季節に、どこから吹くのか
水はこの場所をどう流れ、どこに溜まるのか
地形は、土の色は、どんな鳥がいて、どんな虫がいるのか
そして、いまここにいる人たちが何を感じているのか
「一年かけてもいいくらい」と川村さん。
そうして森を見ていくと、高さがいくつも重なっていることに気づきます。
大きな木の下に中くらいの木、その足元に低木とハーブ、地面を這ういちご、地下にごぼう、木に巻きつくぶどう。
ひと目には、ただの森。
フォレストガーデンは、この重なりをそのまま庭に持ち込む考え方です。

「植物や生き物たちは、本当に自然の先生だなと思って、私は今でもやっています」
森の力を借りて育てる
層が重なっていると、暮らしが助かります。
地面を覆う植物——川村さんは「リビングマルチ(生きているマルチ)」と呼びます——があれば、土は乾きにくい。
にんじんやごぼうの根は、人の手が届かない深さまで土をほぐし、雨を染み込みやすくする。
木陰があれば、暑さに弱いラズベリーだって育つ。
「私が頑張るというよりかは、森の仕組みを利用して、森の力を借りて育てる」
浜松市富塚にある川村さんたちのフォレストガーデンは、もともと後継者がなく、土がカチカチになっていた耕作地でした。
いまは200種類以上の植物が育つ森になっています。
それでも、楽しいことばかりではないそうです。
頑張らなければいけない時期もある。
だからこそ「ご褒美が大事だと、あの映画を観て思った」と川村さん。
ぶどうがおいしくなるまでには、10年かかったといいます。
収穫して、みんなで料理して、振る舞う。
あまり乗り気ではなかった小学校高学年の女の子たちが、木から採ったラズベリーを「かわいい」「おいしい」と食べてくれたことが、今も心に残っているそうです。
庭から、町へ
森や水のある場所は、必ず涼しくなる
それは肌で感じられることだと川村さんは言います。
「大きな気候は変えることはできないけど、小さな気候は変えられるんじゃないかな」
自分の場所の暑さ・涼しさを計測して分かち合う「マイナス2℃」というプロジェクトも始めていらっしゃいます。
その思いは、庭の外へも広がっています。
保育園の垣根をラズベリーに変えたら、泣きやまない子を先生が手を取って連れていく場所になったこと。
使われていない公園の垣根を食べられる木に植え替えたら、毎日同じ時間に散歩する人と言葉を交わすようになったこと。
公民館の受付の横につくった「種の図書館」。
今年度から始まった、小学校の校庭の「食べられる森」。

植物が増えると、人が集まる
人が集まると、会話が生まれる
「食べられる森」から「食べられる街」へ
川村さんたちは、2035年に向けて、日本中に1000か所の食べられる森を増やそうとしています。
会場から
会場からは「庭の芝生の手入れが大変で」というお声も。
手をかけるほど大変になってしまう。
その実感は、庭を持つ多くの方が抱えているものかもしれません。
庭に、小さな森を
果樹を一本、植えてみる
ハーブを窓辺に置いてみる
食べられる森は、そんな小さなところから始められます。
川村さんが挙げてくださった「はじめの一歩」は、もっと身近なものでした。
帰り道、車を運転しながらでいい。
「ここにこの植物が植わっているんだな」と意識を向けてみること。
秋は、種まきの季節でもあります。
おいしいものを味わうことも、すてきな一歩です。
そして——
「雨の日、皆さん雨だなと思うかもしれないけれど、雨の日にしか見えないことがめちゃくちゃある」
雨の日に外に出て、水が自分の敷地にどう入り、どう出ていくのかを見てみる。
次に雨が降ったら、やってみたくなるお話でした。
おわりに

ご参加くださった皆さま、ありがとうございました。
穂の国の森からつながる地域づくりの会では、山の見学会や植林活動、子どもたちへの啓発活動など、これからも東三河の森と暮らしをつなぐ活動を続けてまいります。
イトコーでは、東三河の木と自然素材を使った家づくりを続けています。
お庭づくりや半外空間(GOOD-TIME PLACE)のご相談も大歓迎です。
得意としているのは、庭そのものだけでなく、そこで心地よく過ごす時間のご提案。
屋根のある半外の空間があると、家の中と外がゆるやかにつながり、庭がぐっと近くなります。
モデルハウスでは、その心地よさを実際に確かめていただけます。

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